キャラクター設定の重要性

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漫画原作を制作する上で、一番大切なのは何だと思いますか?

ストーリー?
それとも、読者の想像を裏切るトリックやどんでん返し?

『トイストーリー』『Mr.インクレディブル』や『カーズ』で有名なピクサー・アニメーション・スタジオは、アニメーション制作で最も大事にしているのは、「ストーリー」と「キャラクター」そして「世界観」と言っています。

漫画でもこの3つは作品の人気を左右する重要な要素ですが、漫画で一番大切なのは、世界観やストーリーよりもキャラクターだと言われています。

順番で表わすと、キャラクター>世界観>ストーリーの順に重要になります。

ミッキーマウスのキャラクター設定

世界で一番認知度の高いキャラクターと言えば、ディズニーのミッキーマウスだと思いますが、そのキャラクターと世界観は非常に細かく設定されています。

例えば、ミッキーマウスは世界に1人(匹?)だけしか存在しないため、ミッキーを2人以上を見開きで表示しないように決められています。(見開きページを1つの世界として考えているため)

そのため雑誌などに掲載する画像で、ミッキーを見開きページで2人以上表示してディズニー社の監修に回すと、必ずNGで帰ってきます。

また、ディズニーランドやディズニーシーでミッキーマウスがショーやパレードに参加したり、園内を回ったりしていますが、ディズニーシーでショーに登場している時は、同じ時間にディズニーランドでショーや園内を散歩することはありません。

しかも日本のディズニーリゾート(ディズニーシーとディズニーランド)だけでなく、世界中のディズニーランドで、同じ時間帯にはミッキーがパレードなどに出ないように厳しく制限されています。(最近はディズニーランドの増加により、そこまで厳密には管理されていないようですが)

これも「ミッキーは世界に1人だけ」という設定を守るためです。

また「別の漫画や原作のキャラクターと話してはいけない」という制限もあるので、ミッキーとピノキオが話したり、ミニーがダンボの背中に乗ったりすることはありません。

他にも、ミッキーは肉食ではないので肉類は食べず、食べるのはミルクやチーズなど、細かい設定が決められています。

そしてこれらの設定は、すべて原作者のウォルト・ディズニーが決めたそうで、現在でもその設定は引き継がれています。

松田聖子さんのキャラクター設定

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画像は公式HPより引用

また実在の人物では、松田聖子さんがキャラクター設定に非常に気を配っているとの記事を読んだことがあります。

詳細は忘れてしまったのですが、TVの企画で松田聖子さんが何かをする企画の説明をしていた所、

「やりたいことは分かりますが、松田聖子はそんなことしないんです」

と松田聖子さん本人がNGを出したそうです。

企画内容は理解した上で、企画の「好き・嫌い」ではなく、「松田聖子というキャラクターの考え・行動にマッチしないので断る」という、一流の芸能人としての判断だと思います。

「アイドル」という言葉は、英語の「偶像(ぐうぞう)」という意味の通り、自分ではないキャラクターとして第三者の視点で厳しく管理しているからこそ、一時的なアイドルではなく、長期に渡って芸能界で活躍していけるのだな、と感じたエピソードでした。

荒木飛呂彦先生のキャラクター設定

『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生も、『荒木飛呂彦の漫画術』の中で漫画に必須なものとして、「ストーリー」「キャラクター」「世界観」を上げています。

※『荒木飛呂彦の漫画術』についての記事はコチラ

そしてさらに「テーマ」を4つ目の要素として追加し、この4つを漫画の「四大構造」としています。

荒木先生は特にキャラクターを重要視していて、

魅力的なキャラがあれば、他がなくてもOK

とまで言っています。

具体的なキャラクター設定の方法としては、キャラクターの履歴書に当たる「身上調査書」を作成しているそうで、この「身上調査書」には、キャラクターの外見、過去、考え、性格、スキル、趣味、特技や尊敬する人などが書かれています。

この調査書を作ることで、話が進んでいっても「キャラクターがブレない」というメリットがあると言っています。

まとめ

これらの事を考えながら漫画を読みなおすと、それまでに気付かなかった多くの事に気付くのでオススメです。

特に『ジョジョの奇妙な冒険』34巻(「漫画家のうちへ遊びに行こう」)の漫画家、岸辺露伴の登場シーンなどは、見た目だけで出来るだけ多くの情報が伝わるように非常に考えて書かれている事に気づいて、作者の意図が分かることでより作品が面白くなると思います。

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