ストーリー展開や話の構成の参考にするのは、「原作つきマンガ」が一番最適なので、原作つきマンガを数多く読むのをオススメします。
なぜ「原作つきマンガ」が参考になるのか?
なぜ「ワンピース」などの大ヒット作品ではなく、原作つきマンガを参考にするかというと、原作つき漫画には必ず下記3つのうち2つ以上の突出している特徴を持っているからです。
原作つきマンガの3つの特徴
1)特別な知識
2)世界観と構成
3)キャラクター
1)特別な知識
原作つきマンガの多いジャンルに「グルメ」「スポーツ」「ミステリー」が挙げられます。
グルメ
「グルメ」系マンガの原作者として有名なのは、「美味しんぼ」の雁屋哲先生や「ザ・シェフ」の剣名舞先生、「孤独のグルメ」の久住昌之先生などがいます。
「食」という誰もが毎日接しているジャンルですが、食べ物全般に関する知識をベースに物語を創るのは、かなりの深い知識と技術が求められます。
また「孤独のグルメ」のように、実在する店舗が出てくる物語の場合、締め切りに常時追われているマンガ家には取材に行く時間が取れないため、原作者が付きやすい傾向があります。
スポーツ
「スポーツ」のジャンルに原作者付きマンガが多いのは、少年誌などでは読者層からスポーツ系のマンガのニーズは高いものの、描き手が少ないからです。
その理由として、子供の頃から漫画家を目指している人は、手などに怪我をしやすいスポーツを避ける傾向があり、基本的な知識はあっても実際にそのスポーツをやった事のある人が少ないためと言われています。
実際の例をあげると、講談社系のマンガ雑誌ではスポーツ系の原作を作れる人の募集に注力していて、前回(第15回)のネーム原作賞のテーマは「スポーツ」でした。
また、「バクマン。」の第130話でも、主人公の真城最高が同級生にスキーに誘われて、手をケガできないことを理由に断っているシーンが描かれています。
ミステリー
「ミステリー」の例が一番分かりやすいと思います。
特にトリック系のミステリーは、トリック自体だけでなく話の舞台設定や登場人物のキャラクターなどが大きく関係するため、それらの設定をマンガか一人で考えるのはかなりハードルが高いといえます。
ミステリー系の原作つきマンガで一番有名なのは、「金田一少年の事件簿」の天樹征丸先生です。
2)世界観と構成
原作つき漫画には、この設定が良くできている作品が多いです。
世界観とはバトルものやファンタジーなどのジャンル・舞台設定だけでなく、キャラクター同士の人間関係や会話のやり取りなどが含まれます。
簡単な例で言うと、読んでいて思わずニヤニヤしてしまうやり取りなどです。
3)キャラクター
ここでの「キャラクター」とは、見た目などの「外見」や言葉通りの「性格」の事だけでなく、そのキャラクターが持っている「欲望」「信念」なども含まれます。
魅力的なキャラクターには、その行動の動機となる「欲望」「信念」を持っています。
キャラクターはその欲望・信念などの「想い」に基づいて行動を起こします。
その想いが強ければ強いほど、そのキャラクターの行動を動機づけることができ、読んでいる読者が納得したり共感したりすることができます。
私の好きな『ワンピース』の例で言うと、ルフィの「海賊王になる」やゾロの「世界一の大剣豪」などです。
このキャラクターと世界観がしっかりできているからこそ、魅力的なストーリー展開がしやすくなります。
これまた『バクマン。』の例では、第19話でライバルの新妻エイジが「好きなキャラは勝手に動きます」と、キャラクター設定がしっかりしているとキャラクターが自分勝手に動き出す事を話しています。
まとめ
この3つの特徴に「ストーリー」が入っていないのに気付いたでしょうか?
実際の所、マンガ雑誌の編集者は原作者に「ストーリー」の展開について大きくは求めていません。
というのも、マンガ編集者の得意分野が、この「ストーリー」を作る事だからです。
もちろん漫画にはストーリーが重要なのは町がありませんが、「世界観」と「キャラクター」がしっかり出来ていれば、アイデア一つでストーリーはいくらでも展開させることができるので、編集者としては「世界観」と「キャラクター」をうまく作れるかどうかを重視しています。
おまけ
尚、原作つきのマンガを読むうえで一番重要なポイントは、「原作者視点で読む」という点です。
普通は「読者」としてマンガを読むと思いますが、原作つきマンガを参考とするために読む場合は、
「話をどのように展開しているか?」
「どうやって問題点を克服しているか?」
「キャラクターの性格をどのような行動やセリフで暗示しているか?」
「伏線をどのようにはって、どのように回収しているか?」
など、これまでの読者視点ではなく、「話を作る者」としての視点で読むと、これまでとは違った作品の受け取り方ができます。