「連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏」に学ぶ、ヒットする漫画の傾向

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昔、週刊少年ジャンプで「機械戦士ギルファー」「メタルK」「ゴッドサイダー」などを連載していた、巻来功士先生の「連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏」を読みましたので、その感想です。

本の印象的だった点

まず最初に帯に注意が引き付けられました。

「これ読んでほしい編集者、いっぱいいるわぁ」 森田まさのり

この帯を描いている森田まさのり先生は、『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』の作者です。

これを見て最初に思ったのは「そういえば森田先生の作品を最近見かけないな。。。」という事でした。

wikipediaを見ても、2015年に完結した「べしゃり暮らし」が最後の作品の様です。

他にも下記の点が印象的でした。


・デビューはジャンプではなく少年画報社の「少年キング」。

・『キャッツアイ』『シティーハンター』の北条司先生が、同じ大学の先輩。

・ジャンプで連載デビューするまでの間は、『北斗の拳』の原哲夫先生のアシスタントを第1話~2話だけやっていた。

・原先生と担当編集者の堀江担当は強い絆で結ばれていた。

・『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生がライバルだった。

4番目の「原先生と担当編集者の堀江担当は強い絆で結ばれていた」ですが、漫画の中にも描かれていますが、『北斗の拳』の第2話(種もみのおじいさんの話)で堀江担当が「GO」サインを出した後で書き直しを命じたにも関わらず、原先生は文句も言わず書き直した話で描かれています。

納得いかない巻来先生でしたが、実際に掲載された漫画を見て数倍面白くなっている事に驚いています。

最後の「荒木飛呂彦先生がライバルだった」は、巻来功士先生の個人的な感情ではなく、当時のジャンプ副編集長が「ジャンプにホラーは1つでいい」という方針だったそうで、同じホラーカテゴリーに分類された巻来功士先生の『ゴッドサイダー』と『ジョジョの奇妙な冒険』が比較されることになったそうです。

『ジョジョの奇妙な冒険』は、全然ホラーでは無いと思うのですが・・・

『バクマン。』でも描かれていますが、ジャンプでは掲載している漫画のジャンルのバランスに注意をしているようで、格闘とギャグ、恋愛などが偏らないように注意しているそうです。

でも大半が格闘な気がするのですけどね。

一番おもしろくて参考になった点

この本で一番おもしろくて参考になったのは、元週刊少年ジャンプの編集長である堀江信彦さんと巻来功士先生の対談が載っている「あとがき」でした。

堀江信彦さんは、北条司先生や原哲夫先生を担当していた元編集者で、週刊少年ジャンプの史上最高出版部数653万部(1995年)を打ち立てた時の編集長です。

編集長の退任後は、集英社を退社して新しく出版社を立ち上げ「コミックバンチ」を創刊しました。(この雑誌で北条司先生が『エンジェルハート』を連載していました)

漫画の「縦糸」と「横糸」

堀江さんの考えでは、漫画には「縦糸」と「横糸」があるそうです。

「縦糸」とは「ストーリーライン」のことで、「横糸」とは「演出やキャラクター作り」の事です。

編集者が手助けできるのは「縦糸(ストーリーライン)」だそうで、巻来先生は縦糸が得意だったために編集者として手助けできる場面が無かったのではないか、というのが堀江さんの分析でした。

そのため「縦糸」が得意な漫画家に必要な編集者は、「この時、こういう顔じゃなくてさ」とか「女の子、こんなキャラにしてさ」「仕草がこうでさ」などを提案できる編集者との事だそうです。

ちなみに荒木飛呂彦先生も同じ縦糸(ストーリーライン)が得意な漫画家だったそうなのですが、横糸(演出やキャラクター作り)に注力して『ジョジョの奇妙な冒険』を大ヒット漫画に導いたそうです。

荒木先生が著者の新書『荒木飛呂彦の漫画術』(この本もかなりオススメです。漫画原作者になりたい人は必読です)でも書いていましたが、漫画の命は「キャラクター・性格・価値観」と書いています。

後、ヒットした漫画のコマ割りを調べたところ、「20ページで100コマ」というのが一番多かったという話も参考になりました。

20ページで100コマという事は1ページで5コマ平均ということですね。

そういう視点でヒットした漫画を読み返すと大体1ページ5ページになっているから不思議。(『スラムダンク』は見開きページが多かったこともあり少な目でしたが)

まとめ

巻来先生の「機械戦士ギルファー」の最初の印象は「ガンダムのザクじゃん!」だった事は内緒です。

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Yahoo!ブログより転載

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