今回は、漫画雑誌が売れなくなった理由と今後の方向性について考察してみます。
漫画雑誌が売れなくなった理由
昔週刊少年ジャンプで連載していた『ゴッドサイダー』で有名な巻来功士先生が「連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏」という本を出版しました。
さすがに集英社の発行じゃないですね。。。
巻末に週刊少年ジャンプの元編集長、堀江信彦5代目編集長との対談が収録されていて、漫画雑誌が売れなくなった理由について議論しています。
堀江元編集長は「略奪」というキーワードをマンガ雑誌が売れなくなった理由にしていました。
それは、
「担当編集者がものを考えなくなった」
「面白い作品の描ける即戦力を求めるようになった」
「マンガ業界全体が新人作家を育てていこうという方向にならなかった」
事を原因に挙げています。
現代社会で言う「焼畑農業」です。
才能のある作家を短期間に人気作家に仕立てて、その才能が枯渇すると使い捨てで次の作家に移り変わる、まさしく現代の焼畑農業ですね。
確かに余裕のある時代には時間をかけて新人を育てる時間がありましたが、1996年をピークに売り上げが徐々に低迷しているマンガ雑誌を見ていると、その余裕はなくなったのが見てとれます。
まとめ
マンガ雑誌業界は、「新人を育ててる余裕がないため即戦力を期待しているが、即戦力はそんなに存在しないため新人が出て来れずに低迷している」業界なのかも知れません。
現在のマンガ雑誌業界には、元内閣総理大臣である小泉純一郎元首相が例に出した「米百俵」のように、まずは現時点で飢えてでも未来への投資を行う精神が必要なのかも知れません。
米百表とは?
米百俵(こめひゃっぴょう)とは、幕末の長岡藩士小林虎三郎の唱えた教育論です。
戊辰戦争で幕府軍として戦った長岡藩は戊辰戦争終了後に大幅に石高を減らされ、藩の財政が窮乏した結果、藩士たちはその日に食べるものにも困る状態となり、その窮状を見かねた仲の良かった三根山藩から百俵の米が贈られることとなりました。
しかし藩の幹部クラスであった小林虎三郎は、贈られた米を藩士に配布せず、売却してその資金を学校設立の費用とすることを唱えました。
当然、藩士たちはこの考えに反発して抗議しましたが、
「百俵の米は食べればあっという間に無くなるが、その売却した資金を若者たちの教育に充てれば将来の百万俵となる」
と小林虎三郎は諭し、自らの政策を押しきりました。
この話は201年に当時内角総理大臣の小泉首相によって広められて有名になりました。
この例がマンガ雑誌業界に当てはまるかどうかは分かりませんが、このままでは「じり貧」にになるのは間違いないので、どこかのタイミングで思い切った施策に出る事が必要になると思います。
そうでなければ、どれだけ頑張って漫画原作者を目指しても、そもそもの漫画市場が壊れてしまいます。