ストーリーの方向性を変更するテコ入れで成功した漫画

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『少年ジャンプ』など連載漫画間での競争の激しい週刊誌では、毎週実施されている読者アンケート(=人気投票)の人気順に漫画を掲載しているので、掲載順位でその漫画の人気を知ることができます。

例えばジャンプの看板作品である織田先生の『ワンピース』は、前から5作品以内に掲載されてるのが大半です。

そしてアンケートで下位の漫画は、雑誌の後半に掲載されていて、そのままランキングに変動がなければ、漫画家にとって一番恐ろしい「連載打ち切り」の可能性がドンドン高まってきます。

『バクマン』の情報を参考にすると、全20作ほどの連載作品の中で、12位以降になると危険信号がともり、15位以降でテコ入れ対象、17位以降で打ち切り検討対象となるようです。

テコ入れ

だいたい人気ランキングが15位以降になると実施される対応策が「テコ入れ」です。

これは小さなものであれば新キャラを登場させたり、マンネリ化してきた話を切り上げて新展開を進めたりする事をさします。

また大きなものであれば、漫画の根本的な内容を路線変更することでランキング上位を目指します。

テコ入れで変更する方向性は色々ありますが、特に少年ジャンプのテーマは「友情・努力・勝利」なので、バトル漫画が好まれる傾向にあります。

このテコ入れで成功した漫画で有名なのが、1980年代の名作『キン肉マン』と1990年~2000年代にかけて連載されて、現在もカードが大人気の『遊戯王』です。

キン肉マン

『キン肉マン』は、9巻の悪魔超人編以降からは想像もつかないですが、ダメ超人のキン肉マンが正義の味方を目指して奮闘するギャグ漫画でした。

私も初めて『キン肉マン』を読んだのが、キン肉マンとバッファローマンがミート君の体のパーツを賭けて戦う12巻くらいの話だったので、そこから単行本の1巻を購入して読んだ時の衝撃は今でも忘れられません。

表紙だけキン肉マンで、中身が違う漫画を買ってしまったのかと・・・

遊戯王

また、『遊戯王』も最初の話の展開から大きく変わった漫画の一つです。

『遊戯王』の当初のストーリーは、主人公の武藤遊戯(むとうゆうぎ)が、祖父からもらった「千年パズル」を解くことで、自分の中に眠る闇遊戯が覚醒し、悪い事をするクラスメイトに「闇のゲーム」を挑んで勝つことで恐ろしい罰ゲーム与えて懲らしめる、といった水戸黄門のような勧善懲悪のストーリーでした。

しかし読者アンケートの結果がイマイチだった事と、話の1つであったカードを使ったバトル「M&W(マジック&ウィザーズ)」が人気になった事から、当初の「闇のゲームに勝つことで悪者に罰を与える」という話の展開から、「カードゲームに秘められた古代エジプトの神秘の力を巡り戦う」へと変更されていきました。

そのため、話の中盤には完全にカードゲームの漫画に軌道修正され、1996年から2004年までの8年間にわたって連載され、全38巻+ガイドブック1巻の合計39冊が発売されています。

まとめ

素朴な疑問なんですが、話の方向性が大きく変わることについて、漫画家さんはどう思っているんでしょうね?

「この漫画が描きたい!!」と思って連載を始めたはずなので、人気=読者のニーズとはいえ、ギャグ⇒バトル漫画のように全然違う方向性に変わると、読者だけでなく、作者本人も戸惑うと思うのですが。。。

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